確定申告で経費になるもの、ならないもの

本格的に確定申告の時期になり、まだ手をつけていない人も準備を始める必要があります。今回は経費について確認をしていきましょう。

言葉を正確に使いこなそう!

まず、ここでは言葉の定義をしっかりと把握していきましょう。

  • 支出:お金が出ていくことです。
  • 経費:売上と対応する概念です。会計用語では「費用」、税務用語では「損金」と呼ばれることもあります。

すべての場所で使える定義ではありませんが、今回はこの定義にしたがって話を進めます。

支出=経費?

最初によくある勘違いについて説明をします。それは「支出=経費」という考え方です。これは間違っているということをしっかりと覚えておきましょう。

「支出とはお金が出ていくこと……。お金が出ていくのだから、それって経費じゃないの?」と思われるかもしれません。気持ちはわからなくもありませんが、そうではないことをここで確認していきましょう。

借入金の返済

金融機関から借金をしていて、その返済をしています。毎月、元本と利息を支払っています。つまり、支出があるということです。この時の利息部分については「支出=経費」の式が成り立ちます。

しかし、借入元本は「支出≠経費」です。これは、借りていたお金を返しているだけだからです。もし、借入元本の返済が経費になるのだとしたら、お金を借りた時に売上が立たないとおかしいですよね? そう考えれば、この点について納得しやすいのではないでしょうか。

固定資産の購入

1個で10万円以上するような買い物は、固定資産に該当することがあります。お金は購入時点で出ていくことになりますが、経費としては何年もかけてゆっくりと計上されていきます。したがって、「支出≠経費」の式が成り立ちます。将来的には経費になりますが、そのタイミングにズレがあるということです。

生活費に該当するもの

このほかにも、支出ではあるが経費にはならないものの代表例として、生活費があります。例えば、以下のようなものがその代表です。

所得税や住民税

確定申告とは、所得税(補助的に住民税)を計算するための手続きです。所得税の計算上、所得税が経費になってしまうのはおかしな話です。所得税や住民税は、生活費に属する税金です。

ただし、税金のなかには経費性が認められるものもあります。経費性があるものとないものを混同しないようにしましょう。

健康保険や年金保険料

健康保険や年金保険料は生活費として処理をします。経費にはなりませんが、税金を安くする効果があり、申告書で処理をすることになります。

交通反則金などの罰金

税金の滞納や交通反則によって罰金が課されることがあります。これらの支払いは、残念ながら経費として認められません。公序良俗に反することをしたにもかかわらず、それによって生じた支出が経費になるわけにはいかない、という判断です。

ただし、民間同士で生じた損害賠償金などはその限りではありません。このあたりについては時と場合によりますので、内容を確認する必要があります。

納税資金の準備を忘れずに

支出と経費が一致しないことによって発生するよくあるトラブルのひとつに、納税資金の不足があります。借入金の返済が非常に多い。だが、お金は手元にない。一方、税金はそれなりに発生したので、資金が足りない……。こういうことにならないよう、資金繰りについてしっかりと考えておくことが大切です。

まとめ

支出と経費は同じものではありません。借入元本の返済や固定資産の購入など、お金が出ていっても経費にならない項目はいろいろあります。特に、固定資産の購入は、支出と経費の計上時期がズレますので注意が必要です。ほかにも、税金や罰金など生活費に該当する支出は経費にはなりません。いずれにしても、納税資金を念頭に、資金繰りについてしっかりと考えていきましょう。

文:高橋昌也(税理士)

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