マイナンバーの漏えい対策を考える

いよいよ本格稼働したマイナンバー制度。今回は、その漏えい対策について考えてみたいと思います。

そもそも、マイナンバーはどこで使うものか?

マイナンバーとは、私たちが行う仕事上、どの部分において利用されるものなのでしょうか?

  • 税務:その人の所得税や住民税の計算で利用。具体的には年末調整などで使われる
  • 社会保険:健康保険や厚生年金、雇用保険など社会保険の手続きで使われる

なお、現在のマイナンバー制度では災害復興支援の分野も含まれていますが、ここでは省略します。

しっかりと確認をしておきたいのは、私たちがマイナンバーを書類に書き込む必要があるのは、税務署や年金事務所など、役所に対して提出する書類に限られているということです。まずこのことをしっかりと押さえておくことが、漏えい対策において一番大切なことといえます。

マイナンバー、どこに保管する?

上記で確認したように、マイナンバーは役所以外に提出することがありません(この点については、将来的な制度運用において変更の可能性も考えられますが)。このことは、例えばマイナンバーを使って給与台帳の管理をしよう、といった利用方法は禁じられているということです。

つまり、必然的に保管すべき場所も限定されてきます。税金や社会保険に関する書類を保管しているような場所に、併せて保管しておくことが合理的でしょう。

番号を拡散させない工夫

おそらく、こんなことを考えている会社さんもあるはずです。「社員のマイナンバーを集めて、それをエクセルなどの表計算ソフトで一括管理しよう!」「取り扱い担当者全員が読めるようにしておこう!」。さて、これは有用でしょうか?

個人的にはあまりオススメしません。なぜなら、マイナンバーを一覧にしてまとめるということは、それだけ番号の書かれている資料が拡散することを意味するからです。

くどいようですが、マイナンバーは税金と社会保険の処理にしか利用することができないものです。それを改めて書き写して一覧にして……とやっていっても、その番号は税金と社会保険以外には使えませんから、結局は税務・社会保険の処理に戻っていくことになります。

大切なのは、保管する場所を拡散させず(余計なファイルを増やさず)に、コンパクトな管理を目指すことです。

役所以外に渡す書類に、マイナンバーを記載しないこと

平成27年10月、マイナンバーについてある取り扱いが変更となりました。それは「社員に配布する源泉徴収票にはマイナンバーを記載しなくてよい」というものです。変更前の時点では、マイナンバーを記載したものを社員に配布するように指導されていました。

しかし、「もし社員がマイナンバーの記載がある源泉徴収票を銀行や保育園に提出したら?」という疑問が繰り返し指摘されていました。くどいようですが、マイナンバーは役所以外に提出してはいけないものですので、これは法令違反となってしまいます。検討の結果、社員に対して配布する資料には、マイナンバーの記載が不要となったのです。

つまり、ものすごくシンプルに考えれば、「役所に渡す書類以外には、一切マイナンバーを記載しないようにすること」を徹底しておけば、大きな間違いは生じにくいことになります。

取扱者に対する教育

上記で紹介したような事務作業の流れを、担当者に対して繰り返し指導、教育することが大切です。どれだけ仕組みを整えていても、取り扱う人間がそれを理解していなければ意味がありません。

過失による漏えいを起こさないために

保管場所を拡散しないこと、役所以外に対する提出書類に留意すること。この2点を徹底するだけでも、安全度はかなり上がります。また、USBを利用した番号の持ち運びや事務所外での作業について禁則事項を設けることなども有用でしょう。

故意の漏えいを防ぐために

マイナンバーの取り扱いソフトによっては、作業ログが残るような機能をうたっているものもあります。この機能があれば、誰がどの時点で何の作業をしたのかという検証が簡単になります。もし、取扱者が複数いる場合には、こういったソフトの導入も検討したほうがよいかもしれません。

まとめ

番号の漏えい対策の基本は、マイナンバーの利用について正しく理解し、それに併せた保管運営方法を選択することです。番号を拡散させず、役所以外に提出することのないようにするだけでも、保全度はかなり上がります。また、取扱者の過失や故意による漏えいを防ぐためには、担当者への教育や管理責任者による監督が重要です。

文:高橋昌也(税理士)

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