法人のマイナンバー導入には、どのような専門家が関わるのか

法人がマイナンバーを導入するにあたっては、さまざまな専門家が関わります。ここでは、そうした各種専門家の役割について説明します。

マイナンバー活用に必要となる専門家とその役割

マイナンバー制度に対応するため、法人の担当部署の方は勉強会や説明会などに相当出席したことでしょう。その時の講師はどんな人でしたか? マイナンバー活用について質問する際、頼りになる専門家ってどのような人なのでしょう?

実は、数ある士業、IT関係、コンサルタント業界でも、「この方です!」という専門家はいません。それほど、マイナンバーに関する問題は多岐にわたると考えてください。

マイナンバー活用のための専門家を考える際、まず法人で、マイナンバーが必要な業務を想定してみます。マイナンバーの利用範囲は、「社会保障」「税」「災害対策」の3分野です。このうち、法人が経常的に行うのは、「社会保障」と「税」の分野です。つまり、社会保障の専門家なら社会保険労務士、税の専門家なら税理士となります。ただし、運用のための体制作りとなると、必要な専門家はもっと広がります。

ここでは、安全管理措置の視点でみていきましょう。例えば、組織的安全管理措置、人的安全管理措置のために、組織改革や契約書の作成などを行うのでしたら、弁護士や公認会計士、リスク管理を行う専門家が必要です。ほかにも、研修会の講師、チェックリストやマニュアルの作成を専門業者に発注する法人もあるでしょう。

また、物理的安全措置や技術的安全措置のために情報セキュリティ対策を講じるのでしたら、ITコーディネーターやシステムベンダーなどのITの専門家が必要です。さらに、情報セキュリティ対策のためにオフィスのレイアウトを変更するとなれば、オフィス家具業者や内装業者も必要になります。これではきりがありません。

法人としては、自社に必要な事項を見極め、その分野に合った専門家を上手に利用するべきでしょう。ですが、全てを専門家1人に任せるわけにはいきません。専門家同士の連携を信頼して、トータルサポートをお願いすることも必要となります。しかしそうなると、専門家への依頼は、それなりのコストがかかります。法人の貴重な予算を効率的に使うためにも、依頼事項を整理し、過不足ない対策を行いたいものです。

専門家の責任

マイナンバーに関する専門家としては、制度の円滑な運用に資するよう、依頼者である法人のニーズに適切に応えなくてはなりません。税理士の立場で考えますと、専門家責任といえば、「契約責任」や「不法行為責任」などの硬い表現になりますが、わかりやすい表現では、「高度な注意義務」が求められる、ということでしょうか。

例えば、マイナンバーの本人確認義務に対しても、税理士など専門家は、一般の番号取扱者に比べて、より高度な注意義務が課せられることになると考えられるでしょう。

時として、専門家への期待は過大になるものです。そのため、お互いの認識のギャップがトラブルに発展することもあります。しかし、こうしたトラブルは、丁寧な説明と適切な情報開示でかなり解消されます。

どの分野の専門家にせよ、専門家としての社会的責任をしっかり認識して、誠実に業務にあたらなくてはなりませんし、法人もそのような意識をもった専門家に業務を依頼すべきでしょう。

まとめ

マイナンバー活用のための専門家はたくさんいます。それだけ、マイナンバーは範囲が広いのです。現状の利用範囲では、社会保障の専門家である社会保険労務士、税の専門家である税理士が挙げられます。しかし、そのほか、安全管理措置を講じるために、法律の専門家、リスク管理の専門家、ITの専門家など、多くのプロフェッショナルも必要です。今後、利用範囲が拡大されれば、もっと多くの専門家が関わることになります。マイナンバー導入は各分野の専門家の力を必要とするほど、義務や負担の大きいプロジェクトといえますね。

専門家もその責任をしっかり認識し、マイナンバー制度の目的である「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」のため活躍してほしいものです。

文:川﨑由紀子(税理士)

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