預貯金、不動産、株券、遺産相続後の名義変更手続きは大変

遺産分割の協議も終わり、それぞれが相続する内容が定まったのはいいけれど、まだまだ大変なことが残されています。それは名義変更の手続き。必要な手続きと注意点について解説します。

預貯金の名義変更の方法

遺産相続の際、不動産や株券はなくても、預貯金がまったくないというパターンはまれです。つまり、ほとんどの相続人は、預貯金の名義変更手続きを行うことになります。

預貯金の名義変更手続きは、必要書類を揃えて金融機関に提出します。必要種類は金融機関により様式が異なりますので、取引のある支店に問い合わせるとよいでしょう。

とはいえ、名義変更のための必要書類はどれも似通っています。どの金融機関でも必要と思われるのは、次の1~4になります。これらはいずれも原本を提出しますが、原本還付(添付書類の返還)を受ければ、複数の金融機関で使い回せます。

このなかでも、特にやっかいなのは1の被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本です。通常1通では済みませんし、連続を確認するもの大変です。自分では難しいと感じたら、早めに専門家に相談したほうがよいかもしれません。

  1. 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 相続人全員の印鑑証明書
  4. 遺産分割協議書

このほか、金融機関所定の手続き依頼書などを作成し、預貯金の通帳、キャッシュカードなどを揃えて、提出します。

不動産の名義変更の方法

不動産の場合は、相続登記を行います。相続登記は、対象不動産のある管轄の法務局に申請します。申請の際には、上記の1~4のほか、登記申請書、対象不動産の登記簿謄本、被相続人の住民票の除票、相続人の住民票などが必要です。

そして、忘れてはいけないのが固定資産税評価証明書です。この評価額により費用(登録免許税)が決まります。ほかに、相続関係説明図を作成すると、戸籍の書類については返却してくれます。

なお、相続関係説明図のひな型は、法務省のホームページに出ています。ある程度揃ったら、一度窓口で相談するとよいでしょう。法務局に問い合わせると、相談窓口の連絡先を教えてくれます。

株券の名義変更の方法

株券の名義変更は、基本的に預貯金と同じです。証券会社などの取引支店に必要書類を提出しますが、どの会社と取引があったかわからないことがよくあります。郵送で届いている取引報告書などを探してみましょう。

1~4までの書類と証券会社などの所定の名義書換請求書を提出します。上場株式と非上場株式では多少違いがあります。

まとめ

やっと遺産相続が終わったと思ったら、今度は名義変更手続き。相続は本当にいろんな手続きが発生します。

上記は一般的な事項ですが、相続の内容によって必要書類は違ってきます。詳細は必ず個別に確認しましょう。預貯金や株券は、口座を動かすためにすぐに名義変更すると思いますが、しばらく売却予定のない不動産は名義変更を忘れがちです。相続登記にはお金がかかりますし、別に名義はそのままでも当面の不都合はありませんからね。

しかし、名義変更を怠って最も危険なのは不動産です。名義変更には相続人全員の協力が必要です。時間の経過とともに連絡がつかなくなったり、相続人のひとりが亡くなってその持分がまた複数の相続人の手に渡ったりなど、相続人が増えて手続きがより煩雑になる可能性が高いのです。名義変更をしておかないと、いざというときに売却や担保の設定ができません。

少し落ち着いてからゆっくり、の気持ちもわかりますが、遺産相続後の手続きは早めに済ませることをお勧めします。
文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

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