平成28年度税制改正で変わる法人税改革のポイント

平成28年度税制改正(案)で、法人税はどう変わるのでしょうか? 特に重要なポイントを解説します。

法人実行税率を大胆に引き下げ

加速する法人税改革のなかでも、やはり目玉は法人税率のさらなる引き下げです。

法人税率は、現行の23.9%から平成28年度には23.4%、平成30年度には23.2%に引き下げられます。そして、実際の税負担率を表す法人実効税率は、標準税率ベースで現行の32.11%から平成28年度には29.97%、平成30年度には29.74%になります。実効税率20%台は、グローバル水準を意識したインパクトのあるものです。

その財源確保のために、資本金1億円超の大法人に適用される法人事業税の外形標準課税の割合が拡大されています。通常は、所得(利益)に対して課税されますが、これは事業規模に応じて課税されるものです。ですから、赤字の大法人にとっては負担増、稼いでいる黒字の大法人にとっては負担減になるわけです。

一方、中小法人の年800万円以下の軽減税率15%は変わりませんが、平成29年3月までの時限措置ですので、その先はどうなるかわかりません。

課税ベースの拡大

法人税改革のもう一つのポイントが、課税ベースの拡大です。以下の3つを押さえておきましょう。

  • 租税特別措置の見直し

生産性向上設備投資促進税制について、予定通り、平成28年度に縮減、平成29年度に廃止されます。

生産性向上のための設備投資に対する支援措置(即時償却や控除率の上乗せ)の縮減や廃止期限を明確にすることで、期限内の設備投資を促そうとするものです。今やらないとお得な制度がなくなっちゃう、やるなら今でしょ! なのです。

  • 減価償却の見直し

建物付属設備や構築物について、償却方法は、これまでのように定額法と定率法から選択するのではなく、定額法に一本化されます。そもそも建物は定額法ですから、建物と一体的に整備される建物付属設備や、建物同様に長期的に使用される構築物も、建物と同じように扱おうとするものです。長い目で見れば、どちらの方法でも耐用年数中の償却費は同じです。ただ、早期費用化ができなくなるという意味で、当初の税負担は増えることになります。

  • 欠損金繰越控除のさらなる見直し

大法人の繰越欠損金の控除制度がさらに見直されています。これは、過去の赤字を今の黒字と相殺できる制度ですが、大法人は繰越欠損金の控除限度額があります。それは現行、控除前所得の65%です。

これが平成29年度から50%になる予定でしたが、1年前倒しで、段階的に5%刻みで減らしていくことになりました。総枠は同じです。急な段差のところを、距離をとって緩やかで小刻みの段差にすることにより、負担を平準化したものです。

そして、繰越期間は現行9年ですが、これが10年に延長されるのが平成30年度からと、当初の予定より1年先に延びました。

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の創設

これは、法人税改革のなかでは少し特殊な、地方活性化に的を絞ったものです。

地域再生法の改正を前提に、認定事業に対する企業の寄附について、税額控除を創設しました。寄附金については、通常の損金算入(約3割の負担軽減)に加え、地方税からも3割、合わせて6割が負担軽減されることになります。

企業の資金力でもっと地方を応援しよう! とするものですね。地方創生応援ですから、個人のふるさと納税と違い、対象となる自治体は限られたものになります。こちらは、特産品はあまり期待しないほうかよいかもしれません。

まとめ

「成長志向の法人税改革」の理念の通り、平成28年度税制改正(案)では、法人税率の引き下げ、課税ベース拡大がポイントです。これは、広く薄く課税する、負担を分かち合うことを意味します。稼ぐ力のある企業の負担は軽減しますが、赤字の企業は厳しくなります。今のところ、中小法人は大きな変化はありませんが、いずれ影響は出てくるでしょう。投資や寄附を促すなど、経済の好循環への期待が随所に見られる内容です。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

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