カロリーの高い飲食品は税金が高い? 肥満税とは?

ジャンクフードや炭酸飲料など、健康に悪く、肥満を加速しそうな飲食品に課税する国・地域があります。国の肥満対策のひとつですが、どんな税金なのでしょうか?

肥満税って、どんな税金?

この税金の目的は、国民の健康を守ること。塩分や糖分の多い食料品や飲料に課税することで、肥満や高血圧を予防し、税収アップにもつなげようとするものです。肥満指数の高くない日本ではピンときませんが、健康目的で特定の嗜好品に課税する点で、たばこ税と似ています。

海外旅行に行くと、糖尿病や高血圧を心配したくなるような、おおらかなサイズの人たちをよく見かけますよね。皆さんもご存知のとおり、国民の健康状態は医療費の問題に直結します。ですから、そうした国・地域では税制を利用して、健康によくない食べ物のハードルを上げるのです。

税金がかかると、対象商品は値上げせざるをえません。そうすると消費者が買い控えることになり、自然と摂取量も減って健康的に! 公衆衛生を推進する政策が肥満税というわけです。

課税対象となる飲食品

対象となる食料品は、ズバリ食べすぎると身体によくないものです。糖分が多く高カロリーで、塩気の強いものですね。

しかし、どれを課税対象の食料品とするかはとても難しい問題です。デンマークでは、2011年に高脂肪のバターや乳製品などに脂肪税を導入しましたが、約1年で廃止されました。やはり、日常的な食料品への課税強化は、豊かでない人々にはつらいものです。

また、すぐ近くの外国のほうが安ければ、国外で買い物をするようにもなってしまいます。そうなると、売り上げの減少から経営判断を迫られた企業が従業員を解雇するなど、雇用問題にも発展しかねません。導入と廃止、どちらが英断であったのかはわかりませんが、食べ物の恨みは恐ろしい(?)というところでしょうか。

特定の食料品だけに違う税率を適用するのは、最近話題の消費税の軽減税率に通じます。こちらは、消費税率引き上げに伴い、標準税率10%のところを、酒類・外食を除く飲食料品などは8%の軽減税率とするものです。

ただし日本の場合、目的が「国民の健康」ではなく「低所得者に対する配慮」ですから、飲食料品の内容ではなく、提供形態などにより区別されています。スーパーでの食料品の購入は8%。レストランなどでの外食は10%。テイクアウトと出前は8%。セルフサービスのフードコートで食べるのは10%。これも、かなりわかりにくいですね。

しかし、この仕組みが定着すれば、肥満税のように、健康によくなさそうな食べ物に税金をかけることもできそうです。飲物を選ぶとき、税金がかかって値段の高い糖分たっぷりのジュースと、値段の安いヘルシーなお茶、どちらにしますか? といった感じでしょうか。どうしても甘いものが飲みたい気分のときならともかく、値段が高いから少しにしておこう、あるいは安いお茶で我慢しようなどといった選択を促す要因にはなりますね。

税の名称には国・地域の特色が現れる

税金は、お国柄を反映します。ルーマニアの「ジャンクフード税」、デンマークの「バター税(脂肪税)」、フランスの「ソーダ税」、ハンガリーの「ポテトチップス税」などを聞いたことがありませんか?

ちなみに、「ソーダ税」は炭酸飲料の本場アメリカでも多くの都市で導入が検討されていますし、カリフォルニア州バークリー市ではすでに導入済みです。また、3月にはイギリスが「砂糖税」を2年後の2018年に導入すると発表しました。

ソーダ規制については、2012年にニューヨーク市でもかなりの論議を呼びました。これは、レストランや映画館、スタジアムでの特大サイズの炭酸飲料の販売を禁止しようとしたものです。肥満税のみならず、行政の肥満防止の対策はいろいろなのです。

まとめ

「肥満税」とは、なんとも後ろめたい響きですが、過度な肥満が健康によくないことは周知の事実です。ヘルシーな和食文化の日本では考えにくいですが、肥満税が効果的な国・地域もあるのでしょう。目的によりいろいろな税制があります。良くも悪くも、税金は人々の意識や行動を変えるものなのですね。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

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