相続税の追徴課税、どう対応すべき?

相続税を無申告でいたら、税務調査が入り、延滞税などの追徴課税が課されました。どう対応したらいいのでしょうか?

相続税を申告しなければならない場合、無申告でいい場合

相続税の基礎控除額はご存知ですよね。3,000万円+600万円×法定相続人の数です。

基本的に、相続財産がこの基礎控除以下なら相続税はかかりません。相続税の申告書を提出する必要もありません。しかし、結果として税金がかからなくても、小規模宅地等や配偶者の税額軽減の特例などを利用するためには申告が必要です。申告することで、初めてこれらの特例が利用できるのです。

自分はどうだろう? と心配の方、まずは財産の総額を概算してみましょう。国税庁のホームページに申告要否を判定してくれるコーナーがあります。のぞいてみると、そもそもどんな情報が必要なのかがわかります。今後に備えるためにも参考になるでしょう。

税務調査で過少申告が見つかると、延滞税などが課されることもある

税務調査で申告漏れが見つかると、追加の税額を払うことになります。そして、本来の税額にさらに延滞税、加算税などペナルティが追徴課税されます。

延滞税

延滞税とは本来納付すべき税額について、最終的に納付する日までの日数分の遅延利息に相当するものです。気になる割合は、納期限から2月以内は2.8%、それ以降は9.1%です(平成27年1月1日から平成28年12月31日までの場合)。

加算税

加算税とは、適正な申告がされなかったことに対する制裁として課されるものです。相続税の追徴課税としては、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税があります。それぞれ割合が異なります。

  • 過少申告加算税

当初、期限内申告はしていたけれども、本来の税額より過少であったため、修正申告した場合などの過少申告加算税は10%または15%。ただし、税務調査前に自主的に修正申告したらなし。

  • 無申告加算税

最初から申告していなくて、税務調査により期限後申告をした場合などの無申告加算税は15%または20%。これも調査前に自主的に期限後申告したら5%。

  • 重加算税

仮装・隠蔽があった場合に、過小申告加算税または無申告加算税の代わりに課せられる重加算税は35%または40%。

そもそも税務調査でどれくらい申告漏れ財産が見つかり、どれくらいの追徴税額がかかるのでしょうか? 国税庁の公表によると、平成26事務年度(平成26年7月から平成27年6月までの間)の申告漏れ財産は3,296億円、追徴税額は670億円(本税583億円、加算税87億円)でした。これを実地調査1件当たりに換算すると、申告漏れ財産は2,657万円、追徴税額は540万円となります。

申告漏れで指摘が多い財産は預貯金、有価証券などの金融資産です。家土地などの不動産は隠しようがなくても、お金なら黙っていればわからないかも、と考えたくなるのでしょうか。名義預金など見解が分かれる場合もありますが、マイナンバーも導入されたことですし、金融資産はもはや隠しようがありません。正直に申告してください。税務調査の結果に納得がいかない場合は、不服申立をしてとことん戦う方法もありますが、身に覚えがあれば素直に払うしかありません。

まとめ

相続税の税務調査があると、約8割で申告漏れなどが指摘され、新たな負担が発生します。元から払うべき税額ならともかく、ペナルティの税金はつらい負担です。うっかりミスなら、気づいた時にすぐに申告しましょう。自主的な修正ならば、追徴課税も低くてすみます。しかし、仮装・隠蔽など悪質になるとかなりの重課になります。ズルして黙っていて発覚すると、最悪の場合本来の税額の4割増しになります。この場合、配偶者の税額軽減も使えません。相続税がもったいないからといって危ない橋を渡るようなまねはやめてくださいね。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

  • 国税庁|税について調べる|パンフレット・手引き|相続税・贈与税・事業承継税制関連情報|《相続税の仕組みの分かりやすい解説》
  • 国税庁|税について調べる|パンフレット・手引き|相続税・贈与税・事業承継税制関連情報|《相続税の申告のおおよその要否を自動判定》
  • 国税庁|活動報告・発表・統計|報道発表資料(プレスリリース)目次|平成26事務年度における相続税の調査の状況について

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