リース取引と経理の関係

リース=借りているもの、という認識は多くの人が持っていると思います。しかしその実態を考えると、そうとは言い難い取引が多数あります。平成20年の改正により、リース取引に関する考え方が改められました。

実態は「割賦購入」と変わらない?

まず一つ、有名な例を取り上げてみましょう。皆さんは日常的に飛行機に乗っているでしょうか? 実は各航空会社が利用している飛行機ですが、アレは航空会社が所有しているものではないのです。リース会社が所有しており、それに対して航空会社はリース料を支払い、飛行機を運航しています。

ただ、実態から考えれば「あの航空会社の飛行機」と表現してもそれほどおかしくありません。実際、少し前ですが、ある航空会社が「導入予定だった飛行機について中止をする」と決めたところ、リース会社から巨額の損害賠償請求をされた」という事例がありました。リース会社からすれば「使うと決めている航空会社がいるからこそ、メーカーから購入をした」という言い分があるからです。

リース取引の会計基準

上記の例は極端なものですが、リースとはいっても実際には割賦購入と変わらないような取引はたくさんあります。そのようなものに関しては売買と同じような経理処理をするのがふさわしいのではないかということで、現在では以下のような会計基準が定められています。

所有権移転ファイナンス・リース取引

「所有権移転ファイナンス・リース」とは、リース期間が終了する時点で対象資産が借り手のものとなるような取引です。つまり、実態としては限りなく割賦購入と同じものであると考えられます。

このような場合には、リース契約を結んだ時点で、対象資産を購入したものとして固定資産として経理処理をします。減価償却と呼ばれる固定資産の費用化処理についても、現金等で購入したときと同じような処理を行います。

所有権移転外ファイナンス・リース取引

これは、リース期間終了後も対象資産は貸し手のものであり、使い続けるためには再リース料が必要となる取引です。

上記の割賦購入の意味合いをもった「所有権移転ファイナンス・リース」に比べると、少し内容が異なります。リース契約を結んだ時点では、対象資産を購入したものとして固定資産計上をするのは所有権移転ファイナンス・リースと変わりがありません。ですが、減価償却の手続きをするときにリース期間を考慮して計算を行うといった違いがあります。

最終的には、資産が自分の手元に来ないことを考慮し、事業の規模やリース期間によっては毎月のリース料をそのまま経費として処理をする簡単な方法も認められています。

オペレーション・リース取引

リース期間のみ対象資産を借りているような取引です。レンタカーのような取引を想像するとわかりやすいかもしれません。

上の2つに比べると、明らかに割賦購入とは異なります。したがって、支払ったリース料をそのまま経費として計上すれば終わりです。そして、そもそも固定資産を取得したものとして考えないため、減価償却の手続きはありません。

このように同じリースとはいっても、実態が購入に近いものもあれば、単なる貸し借りに近いものもあります。そういった実態に合わせて経理処理も行うようにしましょう、ということを目指しているのです。また、リース取引にかかる利息に関しても検討が必要ですが、煩雑になるためここでは話を省略します。

中小企業の実務では単なる費用処理も多い

なんだか難しそうなリース取引の経理処理ですが、中小企業に関していえば、以前と同じように支払ったリース料をそのまま費用として計上しているケースが少なくありません。

そもそも、上記で紹介した会計基準は「国際的なルールに則り、企業間の情報開示において前提条件に差異が生じないように厳密に決められたもの」です。上場しているような大企業には大切なことですが、多くの中小企業にとってはあまり重要度が高くなく、またその導入も大変に難しいです。

そこで中小企業は、中小向けに特化した会計基準を適用してよいことになっています。その中小企業向けの会計基準において、リース取引については従来のように「支払った時点で費用処理する」という方法が認められています。

中小向けに特化した会計方針では、リース取引には「所有権移転外ファイナンス・リース取引」が含まれているといわれています。そして、国内におけるリース取引の多くは「所有権移転外ファイナンス・リース取引」であるといわれており、中小企業の経理では以前と同じような経理処理方法が多く採用されているようです。

まとめ

ひと口にリースといっても、実際には売買に近いものから単なる貸し借りまで、いろいろな取引がありますが、現在の会計制度では取引実態に合致した経理処理を行うことが求められています。そのため、リース取引の種類によって異なる経理処理が求められますが、中小企業については以前と同様の簡単な処理が認められています。

文:高橋昌也(税理士)

参考:公益社団法人リース事業協会

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