相続税がゼロでも申告が必要な場合があるって本当?

相続税がゼロでも、申告が必要な場合があるそうですが、それはどのような場合なのでしょうか? もし申告しなかったら、どうなるのでしょうか?

相続税がゼロでも、申告が必要になることもある

ご存じの方も多いかと思いますが、相続税の基礎控除額の計算方法は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。正味の遺産額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はゼロ。申告の必要はありません。

基礎控除額はすぐに計算できても、正味の遺産額を計算するのはちょっと難しいです。正味の遺産額とは、遺産の総額と相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の合計から、非課税財産、葬式費用および債務を引いて、相続開始前3年以内の贈与財産を加えたものになります。

非課税財産を忘れることはなくても、過去の贈与財産は意外と見落としがちです。きちんとカウントして、基礎控除額以下になるかどうかを確認してください。

ところで、相続税には相続人の負担を考慮したさまざまな優遇制度があります。特に、土地の評価額を最大80%減額できる小規模宅地等の特例や、配偶者の取得した財産のうち1億6,000万円または法定相続分相当まで税金をかけない配偶者の税額軽減などは、相続税額を大きく減らす効果があります。ただし、これらの軽減措置や特例は申告書を提出することが条件です。

申告書に必要な事項を記載し、一定の書類を添付して提出してはじめて税額がゼロになります。税額がゼロなら申告不要とは限らないことに注意してください。

申告が必要にもかかわらず、申告しなかった場合

本来ならば申告が必要だったのに申告していなかった場合、どうなるのでしょうか?

納付すべき税額がある場合は、当初の税額のみならず、無申告加算税や延滞税などのペナルティも払わなくてはなりません。

後から財産が見つかる場合もあるでしょう。申告すべきだったのに申告しなかった場合にかかる無申告加算税は自主的に期限後申告すれば税額の5%ですが、税務調査で指摘を受け、期限後申告すると15~20%になります。

もし故意に財産を隠して相続税ゼロを装っていたのなら、無申告加算税ではなく重加算税が税率40%でかかってきます。さらに、法定納期限から期限後申告により納付した日までの期間に応じた延滞税もかかります。延滞税は、納期限から2月以内は2.8%、それ以降は9.1%です(期間により異なります)。気がついたらすぐに正直に申告する、が一番ですね。

申告しなかったら小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は使えないと前述しましたが、もし「しまった! 申告してない、本当は申告しなきゃいけなかった!」と、あわてて期限後申告した場合はどうなるのでしょうか?

このような場合は、きちんと遺産分割が終わっていれば適用可能です。遅れたからもうだめだ、とあきらめず、すぐに申告書作成に取り掛かりましょう。

まとめ

相続財産が基礎控除額以下なら、相続税はゼロ。申告も不要です。相続財産の評価が簡単で、明らかに基礎控除額以下であればよいのですが、ぎりぎり大丈夫かなと思われるようでしたら、一度専門家に試算してもらうとよいでしょう。

また、小規模宅地等の特例や相続税の配偶者控除は申告しないと適用されません。計算だけして、相続税ゼロだ、よかった、と安心して放っておいてはいけません。必ず期限までに申告してください。申告書の記載や添付書類などは簡単ではありませんが、減額される金額を思えば頑張るしかありません。

相続税の仕組みは複雑です。思い込みでうっかり無申告とならないよう十分気をつけましょう。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

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