今さら聞けない!配偶者控除と配偶者特別控除、どこがどう違うの?

家計に直結する配偶者控除と配偶者特別控除、女性の就労と微妙に関係しています。その概要と相違点について分かりやすく説明します。

所得税の仕組みと配偶者控除

配偶者控除を説明する前に、所得税の仕組みを簡単に説明します。所得税は個人の所得にかかる税金です。所得の金額からさまざまな「所得控除」を差し引いた残額に対し、税率をかけて税額を算出します。所得控除は文字どおり、所得から控除できるもの。所得控除が受けられると、税金が安くなります。所得控除には14種類あり、そのうちの一つが「配偶者控除」です。

配偶者控除の対象となる配偶者の要件は、下記の4点です。

  1. 配偶者であること(事実婚はダメです)
  2. 生計を共にしていること
  3. 年間の所得が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること)
  4. 青色申告の青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色申告の事業専従者でないこと

所得控除のなかには、無条件で一律に認められている38万円の基礎控除があります。これは所得が38万円までならば、基礎控除の38万円を引くと課税される所得金額が0円になるというものです。

また、給与所得は、給与所得控除として給与収入から一定の金額を引くことができる制度になっています。この給与所得控除の下限が65万円です。給与収入が103万円あっても、給与所得控除65万円を引くと38万円。さらに基礎控除を引くと、課税される所得は0円になります。つまり、配偶者に所得がない、またはあっても税金がかかるレベルでなければ、配偶者控除の対象となるのです。

なお、控除額は配偶者の年齢が70歳未満は38万円、70歳以上は48万円です。

配偶者特別控除も所得控除の一つ

配偶者特別控除も、14種類の所得控除の一つです。配偶者の所得が38万円、給与収入であれば103万円を超えると配偶者控除は受けられません。でも、103万円をほんの少し超えただけで、いきなり控除額がゼロになるのは結構厳しいですよね。

そこで配偶者の所得に応じて、一定の金額の控除が受けられる控除で税負担の軽減を図っています。これが「配偶者特別控除」です。配偶者の所得の増加に応じて、徐々に控除額が減少していく仕組みです。ただし、控除を受ける人(納税者本人)の年間所得が1,000万円を超える場合には適用されません。また、夫婦間で互いに受けることもできません。

配偶者特別控除の対象となる配偶者の要件は、基本的に配偶者控除と同じですが、ほかにも他人の扶養親族となっていないこと、年収要件が38万円超76万円未満であることの2点が異なります。そして、控除額は9段階に分けて設定されており、最高38万円、最低3万円です。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

この2つの名前の似通った所得控除の大きな違いは、控除の金額と配偶者の年間所得の範囲です。

配偶者控除は、38万円(または48万円)の控除額で、配偶者の年間所得は38万円以下の場合です。一方、配偶者特別控除は、控除額が38万円から3万円まで段階的に減少していき、一律ではありません。ただし、配偶者の年間所得は38万円超76万円未満、給与収入にすると103万円超141万円未満の範囲内であれば受けられます。

配偶者にパート収入があっても、103万円以下なら配偶者控除が、141万円以下なら一定の配偶者特別控除が受けられます。一方、パート収入が141万円を超えると、どちらの控除も受けられません。ですから、配偶者控除、配偶者特別控除の適用がある金額の範囲内がお得かも? と思えてしまうわけです。

まとめ

平成28年はひときわ配偶者控除の見直しが話題になりました。配偶者控除の廃止、夫婦控除の創設などいろいろな案があったようですが、結局は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引き上げ、世帯主の年収1,120万円の上限を設けることで落ち着きそうな気配です。

女性の就労と税制を考えると、配偶者控除、配偶者特別控除は必ず論点となります。それぞれの立場により考えは異なるかとは思いますが、どうあるべきか皆さんも考えてみてくださいね。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

  • 国税庁|税について調べる|タックスアンサー|所得税|夫婦と税金|No.1800 パート収入はいくらまで税金がかからないか
  • 国税庁|税について調べる|タックスアンサー|所得税|夫婦と税金|No.1191 配偶者控除
  • 国税庁|税について調べる|タックスアンサー|所得税|夫婦と税金|No.1195 配偶者特別控除

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