遺産を相続したら、確定申告も必要?

昨年、亡き母の遺産を相続しました。相続税は支払い済みですが、それとは別に確定申告も必要なのでしょうか?

相続財産は承継で、所得ではない

収入があったら、または、何か得するようなことがあったら税金がかかるかも? と考えてしまいますよね。

親の遺産は、相続することになるのが普通のパターンです。相続税の申告や名義変更など所定の手続きが必要な場合もありますが、正当に承継したのであればあなたのもの。財産が増えただけならば、確定申告はとりあえず関係ありません。

一般的に確定申告といえば、通常3月15日までに行う所得税の申告のことを指します。所得税は、1年間の個人の所得に対してかかる税金。一方、相続税は死亡した人から財産を相続したときにかかる税金。どちらも税務署に払う国税ですが別物です。ですから、相続による財産の取得については、所得税の確定申告は必要ありません。

家賃収入がある不動産を相続した場合

ただし、相続したもののなかに賃貸物件があった場合は別です。賃貸物件には、家賃収入が発生しています。そして、相続により取得した後の家賃収入は、相続人の所得になります。したがって、これについては不動産所得として確定申告が必要です。

不動産所得は、以下の計算式で計算します。また、確定申告では、不動産所得用の青色決算申告書または収支内訳書を作成します。

不動産所得=不動産収入(地代、家賃等)−必要経費(固定資産税、減価償却費等)

これまで自分で所得を計算したことがない人にとっては、確定申告はちょっとハードルが高い作業かもしれません。まずは前年の確定申告書を探して、内容を確認しましょう。大家さんになったということは、不動産賃貸業を営んでいるということ。毎年の確定申告が必要になります。

相続した不動産をすぐに売却した場合

それでは、相続した不動産を売却した場合はどうなるのでしょうか? 不動産の譲渡は譲渡所得となり、譲渡益があればやはり申告が必要です。

譲渡所得は、以下の計算式で計算します。これがプラスなら譲渡益、マイナスなら譲渡損です。

譲渡所得=収入(売却代金)―取得費(不動産の購入代金、登記費用等)―譲渡費用(仲介手数料、印紙代等)

土地、建物の譲渡所得は、一般的な所得税とは別の税率で所得税(復興特別所得税を含む)や住民税がかかります。さらに、所有期間によって税率が異なります。譲渡があった年の1月1日現在で、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、税率は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)、そうでなければ短期譲渡所得に区分され、税率は39.63%(所得税30.63%+住民税9%)になります。

相続により取得した資産の場合、取得時期を引き継ぎますので、亡くなった親から相続した不動産なら親が取得した時期から所有期間を計算します。

また、相続により取得した土地、建物を相続税の申告期限後3年以内に売った場合には、相続税額のうちその土地、建物に対する部分を取得費に加算して控除する特例があります。

取得費の集計、所有期間の判定、特例適用の有無など、譲渡所得の計算はかなり複雑です。自分でできそうでも、ここは一度専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

相続税は資産に対してかかります。一方、所得税は所得に対してかかります。遺産の取得そのものは相続税で終わりですが、その遺産から派生する所得については所得税の申告が必要になる場合があります。

特に譲渡については新しい制度が多く、平成28年に空き家にかかる譲渡所得の特別控除の特例が創設されました。相続した空き家を売った場合、3,000万円までの特別控除です。この特例の適用にはさまざまな要件がありますので、注意が必要です。

相続にまつわる税金は、制度が多種多様です。損しないためにも日ごろからの情報収集は欠かせません。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

  • 国税庁|税について調べる|タックスアンサー|譲渡所得|土地建物の取得費と譲渡費用|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  • 国税庁|税について調べる|タックスアンサー|譲渡所得|マイホームを売ったとき|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

関連記事