最大で800万円の非課税枠、積立NISAとは?

平成29年度税制改正大綱でその創設が明らかにされた積立NISA。現行のNISAと比較するとともに、その利用方法について検討してみましょう。

現行のNISAと積立NISAの比較

最初に、2つの制度についてその概要を比較しましょう。

・共通していること

・一定の新規投資額と非課税期間を設定している
・譲渡益や受取配当が非課税となる

・現行のNISA

・新規投資額で毎年120万円が上限(平成27年以前は100万円)
・非課税期間は最長で5年間
・上記条件より、最大600万円の非課税投資枠がある
・投資対象は株式や投資信託など範囲が比較的広い
・制度としては平成35年で終了の予定

・積立NISA

・新規投資額で毎年40万円が上限
・非課税期間は最長で20年間
・上記条件より、最大800万円の非課税投資枠がある
・投資対象は長期間の累積投資に適した投資信託に限定
・購入は定期的かつ継続的な方法により行われる
・制度としては平成30年から平成49年の間に行われる予定

現行のNISAに比べて、積立NISAは年間投資額が少額になる代わりに非課税期間が長期化したことで、最大での非課税枠が拡大されます。つまり、「より長期的な分散投資を行うためのもの」に特化した制度といえるでしょう。

どんな意図で活用するのか?

そもそもNISAは、少しでも多くの人に金融投資を行ってもらうために開設された制度です。そのために年間投資額を120万円という比較的少額に抑え、5年間という期間を設けて分散的に投資をしてもらうことを意図していました。金融投資においては、その基礎として投資対象や期間を分散して投資することが推奨されています。積立NISAは、その分散投資をより推奨するための制度として創設されるというわけです。

分散投資とは「多少の値上がり、値下がりは気にしないで淡々と投資を続けること」と言い換えることもできます。大きな値上がりや値下がりを狙って一攫千金を狙うような投資とはまったく性格が異なります。必要なのは根気と時間です。つまり「投資をはじめるに当たっての目標設定」が、とても大切となります。

あなたが積立NISAを活用して作りたいのは、どんな資金なのでしょう? 教育資金でしょうか? マイホーム購入資金でしょうか? それとも定年後の資金でしょうか?

最終的な利用目的についてある程度見越しておかないと、20年間という長期にわたる投資を管理し続けることは非常に難しいでしょう。この目標設定が適切にできるのであれば、積立NISAの非課税枠は大変有効に活用することができます。

NISAに関する注意点とその動向

NISAについては、一見すると良いことばかりのようですが欠点もあります。

・損益通算ができない

NISA口座で損失が発生し、ほかの課税口座で利益が出ているような場合には注意が必要です。課税口座同士であれば利益と損失の相殺ができますが、NISA口座で計上された損失は切り捨てられて終わりです。つまり、課税口座で計上された利益は、そのまま課税されることになります。

・損失の繰り越しができない

通常の課税口座であれば、確定申告時に所定の手続きを踏むことで損失の繰り越し(3年間)ができます。しかし、NISA口座の場合にはそれができません。

これらは現行のNISAにおける注意点ですが、積立NISAについても同様の取り扱いとなるものと思われます。

そして、NISA全体の動向についても注視が必要です。積立NISAの設立に当たり、現行のNISAと選択して利用することとなっています。その一方で、NISA全体について制度を統一していく方向も見られます。現行のNISAについては制度の延長・拡充などは行われず、長期的な分散投資をより推奨することとなる積立NISA側へ集約されていくのではないかと予想されるというわけです。

改めてNISAの活用を検討する場合、NISAのデメリットや今後の動向についてもしっかりと見据えたうえで選択することをお勧めします。

まとめ

新しく創設される積立NISAは、現行のNISAと比べてより長期的な分散投資を促進するための制度です。その活用に当たっては、どのような目的で積立を行うのかについての目標設定が重要となります。また、NISAの活用に当たってはデメリットを知るとともに、制度全体の動向についても注視する必要があります。

文:高橋昌也(税理士)

参考:

  • 財務省|税制|毎年度の税制改正|税制改正の概要|平成29年度税制改正の大綱の概要(PDF)
  • 金融庁|金融庁の政策|NISA特設ウェブサイト

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