タワーマンションの固定資産税、高層階ほど高くなるってホント?

平成29年度税制改正でタワーマンションの固定資産税・都市計画税と不動産取得税が見直されました。改正の概要と相続税への影響について専門家が説明します。

高層階では増税、低層階では減税へ

「タワーマンションの節税効果がなくなる?」と、ショッキングな内容が気になった人もいるかもしれません。平成29年度税制改正を説明する前に、まずマンションの固定資産税について説明します。

固定資産税とは、1月1日の固定資産(土地、建物など)の所有者に対して課される税金のことです。計算の基準となるのは固定資産税評価額で、これは役所が決めています。マンションの場合、1棟での評価額があり、それを床面積の割合で按分し、各所有者の負担額を計算します。

つまり、階層に関係なく広さが基準なのです。

でも、タワーマンションは高層階と低層階とでは、取引価格がずいぶん違いますよね。それなのに、広さだけで分けるのはちょっと不公平な気がしませんか? そこで、今回の税制改正では、取引価格の傾向を踏まえたものに見直されることになりました。

具体的には、1階上がるごとに約0.26%税額が増加します。しかし、1棟全部の税額は変わりませんので、結果として真ん中を基準に高層階は増税、低層階は減税となります。不動産取得税についても、同じ扱いになります。

この制度は平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンションから適用されます(平成29年3月中に売買契約を締結したものは除かれる)。これから新築されるものが対象なので、既存のタワーマンションの評価は従来どおりです。

相続税に影響するか?

当然ですが、この見直しは相続税にも影響します。相続税では、財産をいろいろな方法で評価し、税金を計算します。ただし、財産のなかには、時価相当額の評価とは限らない場合も多々あります。

マンションの場合は、敷地と建物に分けて評価します。そして、建物の計算の基準となるのは固定資産税評価額です。つまり、固定資産税評価額が上がると、相続税での評価も上がり、税額が増加することになるわけです。

一方、タワーマンションは高層階ほど取引価格が高くなるのが一般的です。それなのに固定資産税評価額は、面積が同じならば、高層階も低層階も同じです。ですから相続税の計算上、タワーマンションの高層階ほど時価と評価額との差が大きく、ある意味お得であったといえるのです。

なぜなら、時価より評価額が低いということは、その分税金を減らせることになるからです。これが、富裕層が節税対策にと、高層階のタワーマンションの購入を検討する要因だったのです。

まとめ

タワーマンションは、相続税の節税効果が高いといわれています。相続税を計算する場合、現金より不動産のほうが評価額は低くなります。マンションの敷地の持ち分にしても、タワーマンションは住戸が多く、敷地面積に対する各住戸の割合はとても小さくなりますので、通常のマンションと比べて割安です。さらに、マンションの建物部分の基準となる固定資産税評価額までお得なら、いうことなし(?)というわけです。

相続税の財産評価の仕組みを利用すれば、タワーマンションの高層階を購入することで財産の評価額を下げることができます。ですから、相続時だけ現預金をタワーマンションに換え、相続後すぐに売却すれば税金を相当節約できるはず、と考える人たちがいるわけです。

しかし、こんな狙いすましたような行為は行き過ぎでしょう。租税回避と見なされて否認されかねません。すでにシビアな判例もありますし、当局は課税強化の方向です。

タワーマンションについては、課税制度が遅れています。これから整備されていくとはいえ、既存の中古物件への影響も出てくることでしょう。タワーマンションの購入を検討する人は、今後の税金の動向に要注意です。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

  • 財務省|税制|毎年度の税制改正|税制改正の概要|平成29年度税制改正の大綱の概要(PDF)
  • 自民党|ニュース|政策|平成29年度税制改正大綱

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