酒税法改正!ビール系飲料の税金が同一に

平成29年度税制改正で大きく注目された酒税法改正。ビール系飲料の税金が一本化される改正内容について説明します。

変わる酒類の定義

ビール系飲料は大きく3種類に分けられます。「ビール」「発泡酒」、それから「新ジャンル商品」。いわゆる第三のビールです。これらは、酒税法で定義が決まっています。今回の酒税法改正では、この定義が段階的に見直されることになったというのが重要なポイントです。

まず、平成30年4月に、ビールの麦芽比率要件が現行の67%以上から50%以上に緩和され、副材料の範囲に果実や一定の香味料が追加されます。そして、平成35年10月より、発泡酒の範囲にホップを原料とするものや、ビールに類似する苦味価、色度のものも加えられることになり、現行の新ジャンル商品が発泡酒の範囲に入ってきます。

つまり、ビールの範囲が広くなり、発泡酒に分類されるものが多様になるということです。こうなると、地域の特産品を地ビールに応用しようという発想ができるようになります。また、これまでは、成分の違いによって外国では伝統的なビールであっても、日本では発泡酒として扱われる場合がありましたが、その心配も少なくなるでしょう。

もちろん、こだわりの原料で作られたものこそ本物のビールである、という意見も多いかとは思います。ただ、それはそれで、酒税法とは関係なくビール好きには論戦の尽きせぬところでしょう。

酒税改革、今後10年かけて段階的に

ビール系飲料は一本化

ビール系飲料の税負担率には、かなりの差があります。一般的な350ml缶でイメージすると、価格のうち税金(酒税と消費税)の占める割合は、ビール42%、発泡酒36%、新ジャンル商品27%です。

これを金額にしてみましょう。例えば、小売価格がビール221円、発泡酒164円、新ジャンル商品143円だとすると、そのうち酒税はビール77円、発泡酒47円、新ジャンル商品28円です。同じ分量でも、税負担がこれだけ違うのです。

これを最終的に1缶54円に統一する予定です。期間も、10年かけて3段階で調整します。まず、平成32年10月にビールが下がり、新ジャンル商品が上がります。2回目が、平成35年10月にビールが下がり、新ジャンル商品が上がり、ここで発泡酒と新ジャンル商品が同じ水準になります。さらに、平成38年10月にビールが下がり、発泡酒が上がり、ここで一本化完了です。

清酒・果実酒も統合、チューハイなどは増税

醸造酒類についても税率が統合されます。清酒、果実酒は同じ醸造酒の分類ですが、これまでは清酒のほうが高い税率でした。これを2段階で調整します。少しずつ清酒が下がり、果実酒が上がり、平成35年10月に一本化されます。

さらに、これまでは税率の低かったチューハイなども、平成38年10月に清酒・果実酒並みの税率に増税されます。これにより、酒類間の税率格差が解消されるようになります。

酒税法の改正にずいぶん手間と時間をかけているなと感じるかもしれません。しかし、税率の変更は消費者だけでなく、製造側の企業にとっても大変なことです。商品開発や生産量など、経営方針に大きな影響が出るのは必至です。十分な経過期間と段階的な措置とならざるを得ないのです。

平成29年度酒税法改正は、企業や庶民の生活にどのような影響を与えるか

それでは、この酒税法改正は私たちの生活にどのような影響を及ぼすでしょうか?

現在のビール系飲料がこれほどのバリエーションを展開出来たのは、そもそも酒税の負担を抑えて、安くおいしいビールを飲んでもらおう(その結果売り上げを伸ばそう!)という各メーカーの涙ぐましい努力の賜物です。しかし、酒税法改正で税率が一本化すると、税金部分の価格差がなくなってしまいます。ビールは値下がりしますが、低価格が魅力であった発泡酒や新ジャンル商品はそれこそ生き残る価値を問われかねません。そうなると、ビール業界の商品構成が大きく変わることになるでしょう。

まとめ

今回の酒税法改正での税率の見直しは、酒類間の税負担の公平性を回復するという観点から、ビール系飲料にとどまらず、清酒、果実酒、チューハイなどにもおよぶ大々的なものです。結論からいえば、ビール系飲料は一本化され、清酒は下がり、果実酒とチューハイは上がることになります。

人口減少に伴い、酒類の消費量も年々減少しています。税収確保も苦しいところでしょう。ビールは酒類の消費量では常にトップ。最もよく飲まれているお酒です。今回の酒税改革が家計に与える影響も小さくはありません。今後のビール市場の動向が気になります。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:

  • 財務省|税制|毎年度の税制改正|税制改正の概要|平成29年度税制改正の大綱の概要(PDF)
  • 財務省|税制|出版物等|パンフレット|税制関係パンフレット「平成29年度税制改正(案)のポイント」
  • 国税庁|税について調べる|酒税行政関係情報(お酒に関する情報)|統計情報・各種資料|酒のしおり|酒のしおり(平成28年3月)

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