経費精算や現金出納などの経理処理、どんな形で外部に任せられる?

経理専任の社員を雇うほどの規模ではない。でも自分たちでやるには大変……。多くの中小零細企業はこんな悩みを抱えています。煩雑ではあるけれども、会社の実態を掴むためにはとても大切な経理のお仕事。どんな形で外部に仕事を委託して効率化を図ることができるのでしょうか?

何を自分たちでやるのか、を決める

経理を外部に業務委託するうえでまず決めなければならないのは、「何を自分たちでやるのか?」ということです。小口現金の領収書を整理するところまではやるのか。預金通帳の記帳はどうするか。売り上げの請求書作成は誰に任せるのか。給与計算は外に任せても大丈夫なのか。作業量の考慮と、秘匿すべき情報の有無について考えなければなりません。

もちろん、外部に委託した場合には受託業者に守秘義務があります。また、社員に任せたとしても雇用契約や就業規則の段階において、外部への情報持ち出しについて制限をかけることができます。ですので、理屈のうえでは誰にどんな形で仕事を任せても、秘匿すべき情報は漏洩しないはずなのです。

しかし、実際にはどうしても「外の人には見せたくない情報」も存在することでしょう。また、例えば一部社員が社長やほかの社員の給与金額を知ることで、社内の雰囲気が微妙になってしまうこともあります。ですので、多くの中小零細企業が、売り上げの単価設定や給与水準に関しては、経営者自身やその親族が管理をする形式を保っているようです。

経理の外部委託は、そういった情報管理について何を外部に委託できるのかをしっかりと検討したうえで進めていく必要があります。

サービスの多様化が進む

古くからある形態から最新のものまで、外部委託の方法は多様化が進んでいます。

  • 給与計算の外注

社会保険労務士事務所が業務として請け負っていることが多いようです。給与計算から社会保険料の計算、源泉所得税や住民税の取り扱い、年末調整の業務などを任せることができます。

  • 全般的な経理処理

税理士事務所や経理処理センターに依頼するのが以前からある方法です。処理のレベルについても、案件ごとに調整されています。ある程度まで自分で処理をしておく方法から、ほぼ全面的に経理処理から書類の整理まで外注する方法まで、さまざまな種類の外部委託が存在します。

最近ではスマートフォンのカメラ機能を駆使して経理処理を外注することも可能になりました。自分の好みに合致した方法で処理を頼むことで、経理処理の速度は飛躍的に高まることでしょう。

  • 飲食店や小売業における売り上げの管理

タブレット端末を利用したレジ機能がかなり普及してきました。各商品の販売個数や単価がネット上で簡単に確認できますので、昔からのレジを使って集計をするよりもはるかに手間を減らすことが可能です。

  • より広範な事務について

事務作業について、専門の派遣スタッフを頼めるサービスがあります。週に1回や2回、決められた時間に派遣スタッフが来て、頼んだ仕事をしてもらえます。例えば、小払い経費の精算や売り上げ請求書の作成、税金の納税手続きや預金通帳の記帳業務など、さまざまな選択肢が考えられます。

また、バーチャルオフィスと呼ばれるようなサービスも普及してきました。所定の金額を支払うことで、郵送物の整理や電話応対が任せられるほか、簡易的な秘書サービス、コンシェルジュサービスが受けられることもあります。こういったサービスを駆使することで、経理処理の手間を減らすことも十分に可能でしょう。

このように、選択できるサービスの幅は飛躍的に広がっています。何を自分で処理して、どこから先を外部に任せるのかさえ決められれば、これらの方法を活用して経理処理の効率化を図ることができます。

ただし、あまり複数のサービスを分散して活用すると、関わる人が増えすぎるのも事実です。関係者が増え続けると、それだけ調整作業や事務連絡が必要にもなります。ある程度的を絞って、利用するサービスを選んでいくことが大切です。

まとめ

経理処理の外注においては、どこまでの情報を内部で処理し、どこから先を外部に頼むのかを決める必要があります。その範囲が決まれば、経理処理はさまざまなサービスを活用することで効率化することができるでしょう。最近ではITを駆使した新しいサービスも増えており、選択肢は飛躍的に広がっています。ただし、無制限に利用するとむしろ煩雑になってしまうことに注意しましょう

文:高橋昌也(税理士)

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