相続でお墓を取得、税金はどうなる?

高齢化が急速に進む日本において、今後増えてくるであろう「お墓の相続」。今回はその課税関係について確認をしていきましょう。

お墓は相続財産に該当する?

お墓に関する法律関係を調べると、複雑であることが分かります。

  • 墓地の土地はあくまでも運営主体のもの
  • 俗に「お墓を買う」という表現をしますが、厳密にいうとお墓の土地は購入することができません。あくまでも土地はお寺や教会などの運営主体が所有しています。私たちはその土地の使用権を購入していることになります。そして、使用を継続するに当たっては、管理料を支払い続ける必要があります。ただし、お墓の上にある墓石は使用者に所有権があります。
  • 「お墓」は相続財産

上述のような内容を含め、お墓は民法において「祭祀財産」に分類されています。そのうえで、現在の使用者が死亡した場合には承継という形で引き継がれることになります。つまり、土地の使用権や墓石の所有権、それに付随する管理料などを含めた一体の資産として相続財産に該当するということを意味します。

実際に引き継ぐ人間が確定するにはいくつかの手続きが必要となりますが、お墓についても不動産や車のような財産と同じような相続財産として取り扱われています。

原則、お墓や仏壇の相続税は非課税

そのようなお墓ですが、実は相続税は課税されないことになっています。相続税法上の非課税財産として限定列挙されているもののなかに、次のように明記されています。

  • 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物

お墓や自宅にある仏壇などについては、その親族にとって日常的な営みと関わるものであり、そこに相続税を課税することは政策上好ましいものとはいえません。そこで、これらの品物については相続税を課さないことが明記されています。

ただし、例外もあります。それは、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているもの場合です。仏具や神具のなかには、骨とう品としての価値を有するものや投資・投機の対象として流通しているものがあります。例えば「純金でできた仏像」や「有名な絵師が描いた宗教画」などです。これらを所有している場合、それらについては相続税が課される可能性があります。もちろん、日常的に礼拝で使用しているのであれば非課税となりますが、この点については実態についてきちんと説明できる必要があるでしょう。

また、個人経営の仏具屋さんが商品として所有しているものは、単なる商品在庫ですので当然のことながら相続税の課税対象となります。

思想や信仰の自由が重視される現代日本において、宗教的な要素が多分に関係する墓地や仏具などについては、税法においてもきちんと配慮されています。そのうえで、そのような配慮を悪用するような形で税金逃れを企むような人についても、きちんと対処がなされているということです。

まとめ

お墓とは単一のものではなく、土地の使用権や墓石の所有権、管理料の負担といった複数の要素で構成されている複合的な財産です。そのため、使用者が死亡した場合には相続財産として取り扱われます。日常的な礼拝に使用されているものについては、相続税は課税されませんが、投資や投機の目的で所有する仏具や神具はその限りではありません。

文:高橋昌也(税理士)

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